高画質、省スペース、低消費電力といった優れた機能性から、次世代ディスプレイとして注目を集めている有機ELですが、製造コストの高額さゆえに、現状はあまり普及していません。ところが昨年、九州大学の研究チームが今までの製造コストを大幅に削減した有機ELの開発に成功したことにより、今後発売されるスマートフォン市場で、その技術が大いに活用されるようになるといわれています。そんな有機ELですが、今秋発売予定のiPhone7sにはどのような影響があるのでしょうか?
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コストは従来の10分の1
そもそも有機ELのディスプレイはバックライトが不要なので、薄型化が望まれているスマートフォン業界の主軸となりうるものでした。ただ、その製作にイリジウムなどのレアメタルを使うために、通常の液晶ディスプレイに比べてコストがかかるということから、Apple社ではiPhoneへの採用を見送ってきたのです。関連事業に参入していた日本企業でも、次々とその事業縮小、撤退せざるをえませんでした。そのため、現在の有機EL市場は、韓国政府からの支援があるサムスンやLGがほとんどのシェアを握っている状況なのです。
そのような状況の中、次世代有機ELの研究開発に成功した九州大学では、この技術について2018年の市場参入を目指すと発表しています。また、同大学は、有機ELに関する特許について、関連ベンチャー企業であるKyulux(キューラックス)に移管する契約を結びました。同社はこの特許を用いて、発行材料の製造/販売を独占できることになります。さらに、Apple社が2017年の秋に発売すると噂のiPhone7sのディスプレイに、この有機ELが採用されることを期待していることも伝えられました。この「第3世代の有機EL」ですが、レアメタルを使わずに発行させることを可能にしているため、材料の原価がレアメタルを使った場合の10分の1で済むそうです。このことが、有機ELを使用したディスプレイの大量生産を可能にするのです。
これからの有機EL市場は2011年の7倍に達する見込み?
有機ELは折り曲げ可能なディスプレイを作ることもできるということで、スマートフォン以外のウェアラブル端末等への活用も期待できます。モバイルディスプレイ製造の大手・ジャパンディスプレイ(JDI)は、iPhone7sのパネル受注を目的としてOLED(Organic LED=有機EL照明)の生産を開始することを明らかにしました。サムスンなど他の海外メーカーでもOLEDの量産体制について大規模な投資を行っていますが、JDIでは、九州大学での研究開発の成果を踏まえて、技術面で他社を引き離していると自信をのぞかせていました。
今までは、そのコスト的な問題から、なかなかスマートフォン市場への参入が難しかった有機ELですが、九州大学の技術開発の成功によって急激な市場の拡大が見込まれています。現在、世界中で注目され、各メーカーで量産体制が整いつつあるこの新技術、Apple社の最新スマートフォン(iPhone7s)への採用が楽しみなのと同時に、九州大学の研究開発チームが、大いに技術貢献したことに日本人としてとても誇らしい気がしますね。
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